留学先を決める

 留学された先輩たちから留学話を色々と聞いておいたら良いと思います。もし、周りに留学した人が少なければ他大学の先輩たちに学会の懇親会などで話を聞いたら喜んで色々と教えてくれると思います。ただ、そういう機会が定期的にあると、私の場合はとても助かるし留学がもっと身近に感じられるようになるじゃないかと思うんですが、これは今後の私の課題にしたいと思います。

 留学先のボスの方針は結構大きいです。論文はビックジャーナルに固執してないかどうかはPUBMEDなどで検索すると一目瞭然ですので事前に書くにすることを勧めます。また、どのような性格なのかについては、学会でお話ししただけではボスの特徴は上手くつかめないと思いますので、現地のラボに行って、ラボメンバーがどんな人がいるのか、関係性やあわよくばボスのキャラクターなど現地の人しか知りえない情報はつかんでおいた方が良いと思います。

 私の場合は国内のボスに決めてもらいました。自分の性格上、ここのラボがあっているという日本のボスに推薦されたところに素直に見学しに行き、現在に至りますが、まったくもって正解でした。留学先のボスがとある学会で来られることは確定している学会に演題発表をしに参加し、ボスと面談とラボ見学を同時に行いました。現在している研究テーマは、全く今までの内容と異なるのですが、それが現在は有機的に過去の研究とつながっていて、自分にとってはとても良いと思いました。留学先のラボメンバーは明るい人が多かったので、留学先については割と楽観的にとらえることができました。

 

子どもの留学前の英会話

 私の子供場合は留学の半年以上前から英会話教室に通わせていました。といってもグループ形式なので、実質遊んでいるようなもの(笑)。英語力が上がったかと言えばすごく微妙ですが、”英語を話す外国人と接するという機会”を事前に作っておいたことは良かったのだと思います。

 生半可に日本で英語を覚えるよりは、現地校に通って一からフォニックスで発音を勉強してもらった方が良いと思います。一年後には発音も上手で滑らかに英語を話していますので、子供吸収力には驚かされるばかりです。一番下の3歳児は英語を多少話せますが、やはり小学校に通っている子供たちにはかないません。私が留学前に子供たちにした英語教育の数々を下に上げますが、英語に軽く親しむくらいの軽い感じの方が私も子供もお互いにとって良いと思います。

 

1.英会話教室 

 上述の英語を話す外国人と接するという機会ととらえると、私も子供もお互い気が楽です。英語を是が非でも覚えさせようと気合を入れすぎると疲れてしまうので、私の場合は軽い感じでいきましたが、それが精神衛生上、良かったと思いました。英会話教室では、数の数え方、色や物などを遊びながら英語で勉強していたようです。

 

2.日本の子供向け英語テレビ番組

 これも英語に軽く親しむという感じで、聞き取れないから大変だ、とかそんな感じじゃない方が気が楽です。

 

3.英語かるた 

 なんとなく覚えてくれますが、これも英語に軽く親しむくらいの軽い感じで、できないからといって焦る必要は本当に全くありません。

 

4.日常生活での英会話

 これはやろうとしましたが、子供にストレスがかかると思ったので途中でやめました。シークレットトークをする際は子供の目の前で、妻と英語で話したりしてましたが(これも子供が英語に軽く接するという観点も込めて)、今はそれをすると子供に筒抜けです。

留学前の助成金の申請

留学中のサラリーについては1年目からもらえるところもあれば、最初の1年分は自分で助成金を取得しておく必要があるところなど様々です。ボスとの留学前の面談で聞いておいた方が良いと思います。今後の自身のキャリアアップの為にも、自分で助成金を取得しておいた方が、受賞歴にも記載できますし良いと思います。

NIHが勧告しているポスドクの給与水準の兼ね合いで、留学前に申請する助成金の金額が上がっているところが増えてきており、留学したい人にとってはとても心強いと感じると思います。ここ最近でもかなり変化がありますので、色々なブログなどで記載されてたりもしますが、ぜひ自分で確認されることをお勧めします。私が調べた限りのリストを下に記載しておきますので、何か参考になればと思います。その際に私が気にしたのが、①助成期間、②助成金額、③申請締め切り、④留学後も申請が可能かどうか、です。④については、留学後も取ってきてくれるようなラボメンバーの日本人に対してはボスは非常に好意的に感じると思います。私は直接言われたことは無いですが。

 

1.日本学術振興会 海外特別研究員 

日本国内で一番手厚いグラント。出国・帰国の際の航空チケットも申請する事が可能ですが、金額の上限があります。私が先方に尋ねたところ、明確な数値は教えてくれませんでした。片道チケットで申請しないといけないので、日本の航空会社のチケットでは30万円以上し問い合わせの時点で却下されたので、とある海外航空会社でカナダのバンクーバー経由で渡米しました。細かい渡米当日の様子などは後のブログで紹介したいと思いますが、他国経由ですと、カナダの場合は別にeTAの申請(アメリカで言うところのESTA)が必須ですので注意が必要です。チケット手配会社からこういう情報は頂いたりすると思うんですけど、私の場合は全く知らず空港のチケットカウンターでその旨を言われ、カウンター前でeTAの情報入力をパソコンで急遽しました。

注意点:申請締め切りが一番早いので、前もって面談してボスからOKの了承を売る事、手続きをする際は留学先のボスが入力するフォームがあるので、前もってその点もボスに連絡する事が必要です。これが結構厄介で、余裕を持って作成していたつもりでしたが、ボスが運悪く長期休暇中で、締め切り前日にたまたまメールを見たボスが気付いて入力完了し、あとは日本の所属施設の方に申請手続きの最後をしてもらって、本当にギリギリで申請を終えました。長い休暇を取っているボスもいたりするので、前もってお願いする必要があります。私は前もってお願いしてボスからOKと言って頂いてたんですが、あの時どうしたら良かったのか、今振り返っても名案はないんですけど、ボスには具体的にいつくらいに(これも言っていたように記憶しているんですが。。)、どのような作業(これが実際に自分で入力フォームが見れないので上手くボスに説明できない。。)が必要になるのでお願いしますって、伝えておいた方が良かったのかなと思います。

助成年数 2年

助成金額 約450-620万円/年

申請締め切り 2020年5月上旬

留学後の申請 可能 2次面接が必要な場合はそのために帰国しないといけませんが、私の友人は留学先から申請し、2次面接で一時帰国しましたが無事合格しました。海外から申請した方が通りやすいかどうかは不明ですが、サイエンスの世界ですので皆がフェアに選ばれていると思います。

 

2.上原記念財団 

有名な民間の助成プログラムです。2つあって、助成期間中の年収が600万円以下であればリサーチフェローシップ、250万円以下であれば、ポストドクトラルフェローシップに申請が可能です。その他の内容は大方一緒です。

助成年数 1年 

助成金額 既婚者と独身者の内訳で、更に留学前・留学中の区分で助成額が異なる。

     既婚者 450万円(留学前)、410万円(留学中)

     独身者 390万円(留学前)、350万円(留学中) 

申請締め切り 2020年9月3日

留学後の申請 可能 例えば留学先から多少給与をもらいつつ、この助成金を取得することができれば、ボスも助かるし本人もかなり楽に生活できると思います。

 

 

3.武田科学振興財団 

私が留学前にはなかったのですが、非常に手厚い助成だと思います。留学1年半後に再審査して延長するかの判断がなされるようです。私たちみたいに5人家族で留学というレアケースの場合は、追加で銀行口座の証明などが必要になるかもしれません。

助成年数 最長4年

助成金額 480万円/年

申請締め切り 2020年10月9日

留学後の申請 不可 申請資格が国内在住者という事なので難しいでしょう。

 

4.中富記念財団

応募開始の時点で35歳未満というところは注意が必要です。

助成年数 1年

助成金額 50万円を基準とする、とあるので、多少変動があるのかもしれません。

申請締め切り 2020年9月30日

留学後の申請 可 日本国内の施設長(学長等)の推薦が必要なので、それが可能な人は申請できるかもしれません。私の友人の一人はこれを受領して留学しましたが、留学先のセットアップで助かったようです。

 

5.持田記念医学薬学振興財団

助成年数 1年

助成金額 50万円

申請締め切り 2020年5月13日

留学後の申請 不可 

J1ビザの取得について 2018年の頃

留学した2018年当時にJ1ビザを取得した際の私の状況を下に記載します。少しでも参考になればと思います。

1.ボスからの招待レター これをもらうためには、まず当然留学先のボスの了承を頂かないといけません。ボスから了承を得るには面接が必要ですが、私が聞いた限りでは、学会で面談をするか、現地に行ってラボメンバーの前でプレゼン・ディスカッションを経てOKを頂くか、レアケースですがメールのやり取りをしただけで渡米後始めたお会いするという場合もあります。私は学会で面談をしてOKを頂きました。

2.DS2019 この書類がビザ取得の際に一番ハラハラした思いがありますが、今振り返るとそうでもないのかもしれません(笑)。私はまず最初にボスにDS2019の書類の発行に関して相談をしましたが、ボスはその存在すらご存じなく途方にくれました。そこで、私はラボの秘書さんにコンタクトを取り、DS2019の書類発行の手続きをお手伝いしてもらいました。具体的には、DS2019の書類発行部署と私との橋渡し的な感じですね。もし、ボスとの面談を現地で行う場合は、この書類を発行する時に誰が助けてくれそうか、現地の秘書さんにお土産を渡す際に相談してみて良いかもしれません。あくまで私の場合ですが、秘書さんは個別におみやげを渡されると非常に好意的に接してくれます。それとは別に、留学先のDS2019担当部署からグラントなどの収入証明を提出しないといけません。ちなみに、私は子供3人の計5人で米国留学したため、単身だと$2,400/month、妻はJ2で$800/month、子供1人当たり$400/monthなので、$4,400/monthが必要という計算になります。DS2019の発行手続きに取り掛かったのが留学開始の8か月前からと少し余裕がありましたが、私の場合では半年は見ておいた方が安心できると思いました。あくまで私のケースですが、審査自体は2週間程度、その審査が完了したらネット上でサインをして、FEDEXで1週間程度で届きました。

3.領事館での面談の予約 わたしの場合は福岡市の米国領事館が一番近かったのすが、1か月先にしか面談枠が無い状況でした。そこから面談当日までにビザ申請のためのネット上での手続きのための情報入力を何度も誤りがない事を確認しながら、家族5人分の入力しないといけないので、何日かに分けて作業した記憶があります。地味で集中力が多少いる作業なので、時間がしっかり取れる時に入力することをお勧めします。

4.ビザの写真 サイズ規定(https://www.ustraveldocs.com/jp_jp/jp-niv-photoinfo.asp)があって、最初自分で作成しようとしましたが、家族5人分作るとなると大変になると思い、写真館に行ってビザ用の写真を撮影してもらう事にしました。後述するビザ申請のためのネット上の情報入力の際に写真データをアップロードしないといけないので、写真そのものに加えて写真データも頂くようにした方が良いです。

4.領事館での面談 多少緊張していたのか、面談予定時間の30分ほど前に領事館前で待機していましたが、少し早く来過ぎたと思いました。不審物を持参していないかチェックを終えた後、面談を行うための部屋に入り、名前を呼ばれたら入国審査のようなスタイルで面談が日本語で行われ、何のために渡米するのか等、思った以上ににこやかに面談が行われて無事に終了。パスポートはVISA発行の為に領事館預かりとなり、1週間程度でVISAが張られたパスポートが郵送されてきました。VISA発行のための領事館の面談は子供のパスポートを持参し、子供たち本人の訪問は不要です。

海外留学前の準備

私は日本の大学で研究者として働いていましたが、研究留学の為、現在カリフォルニアのとある大学に在籍しています。留学の際に準備したものを記載していきます。今後留学される人のためになればと思います。

 

出国前の準備

1.J-1ビザ取得 DS-2019を大学や研究機関から入手する必要があり、一番手続きに時間がかかりました。あまりに遅い時は催促をした方が良いと思います。DS-2019が手元に届いたら、大使館での面接を経て(要予約)数週間後にビザが自宅に届きます。

2.引っ越しの準備 家具一式は実家や倉庫に保管してもらい、必要最低限の物品を出国時に一緒に荷物として運びました。

3.パスポート・運転免許の更新 留学先での暮らしが長くなる場合、日本での運転免許の有効期限前でも更新することが出来ます。

4.日本の学会の会費の支払い 学会に事前連絡をしておけば、電子決済で行うことが出来るところもあります。場合によっては、帰国後に支払いしてもいいです、という良心的な学会もありました。事前に相談しておくことをお勧めします。

5.衣類関係 留学先はカリフォルニア南部でしたので温かいという周囲の情報を信じた自分が悪かったのですが、冬は結構寒いです。日本と比べて寒暖の差が大きいので、夜間の気温がどうなのかなど事前に調べておくことをお勧めします。幸い厚着を何着か持って行ったので助かりました。

6.子供の英会話 今考えると必要だったのか分かりませんが、子供から話を聞くと、外人さんとお話しする機会が多少あった方が、現地で受けるインパクトが多少軽減されるのかも、ということでした。英語力を上げるという点では、現地校に通っている時の方が比べ物にならない位すさまじいものがあります。

7.車の売却 これは近場のガリバーでさっと売却、数日で完了しました。

8.ガス・電気・水道・インターネットの停止 出国前は親戚宅にお世話になりましたので、これは出国の1週間前後を目安に停止しました。

9.国際免許証の発行 私は取得して渡米しましたが、カリフォルニア州は基本的には居住する場合は出来るだけ早いタイミングでカリフォルニア州免許証を取得する必要があります。といっても予約取れるのが1か月先なんて当たり前なので、難しい所です。

10.ケータイ SIMフリーiphoneを新調して渡米しました。海外で使えるSIMカードは、日本で契約できるのでネット上で検索するだけでも数件簡単に見つかります。